第1問(仕訳) 解答・解説
下記の取引について仕訳しなさい。ただし、勘定科目は、各取引の下の勘定科目の中からもっとも適当と思われるものを選び、記号で解答すること。
問題
1.事務作業に使用するデスクトップパソコンを3台@¥190,000を購入し、次の請求書を受け取った。代金は月末に支払うこととした。 ア. 発送費イ. 普通預金ウ. 備品エ. 仕入オ. 未払金カ. 買掛金
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ備品 | 572,000 | オ未払金 | 572,000 |
※本ページでは、解説の便宜上、解答の記号の横に勘定科目を記載していますが、実際の試験では記号のみで解答します。
請求書から読み解く「証ひょう」の問題です。
@は「1台あたり」という意味です。
『デスクトップパソコンを3台@¥190,000』とあるので、190,000円のデスクトップパソコンを3台購入したことになります。
これを、『備品(資産)』の増加と考え、左に仕訳します。
-
式)[ 取得原価 ] = [ 購入代価 ] + [ 付随費用 ]
= 190,000×3 + 2,000
= 570,000 + 2,000
= 572,000(円)
「代金は月末に支払うこととした」とあるので、『未払金(負債)』の増加と考え、右に仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ備品 | 572,000 | オ未払金 | 572,000 |
1問各3点となり、このページ全てで45点の配点です。
問題
2. 金庫を調査したところ、紙幣 ¥150,000、得意先振出の小切手 ¥200,000、約束手形 ¥100,000、郵便切手 ¥2,000が保管されていたが、 帳簿上の残高は¥400,000となっていた。原因が不明であったため、現金過不足勘定で処理することにした。 ア. 現金過不足イ. 現金ウ. 貯蔵品エ. 受取手形オ. 当座預金カ. 通信費
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ア現金過不足 | 50,000 | イ現金 | 50,000 |
「紙幣」と「得意先振出の小切手」が『現金』勘定です。
「約束手形」は『受取手形』勘定なので関係ありません。
「郵便切手」は『通信費』勘定なので関係ありません。
帳簿上の残高は¥400,000ですが、実際有高は¥350,000(150,000 + 200,000)となります。
実際有高が50,000円少ないので、『現金(資産)』の減少と考え、右に仕訳します。
反対側(左)には『現金過不足』を記入します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ア現金過不足 | 50,000 | イ現金 | 50,000 |
問題
3.確定した法人税、住民税及び事業税の金額は¥30,000であった。このうち¥12,000は中間納付としてすでに納めている。 ア. 租税公課イ. 仮払法人税等ウ. 未払法人税等エ. 法人税、住民税及び事業税オ. 仮払消費税カ. 法定福利費
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エ法人税、住民税及び事業税 | 30,000 | イ仮払法人税等 | 12,000 |
ウ未払法人税等 | 18,000 |
法人税、住民税及び事業税が確定したので、『法人税、住民税及び事業税(費用)』の増加と考え、左に仕訳します。
中間納付で既に支払っている金額を差し引くので、『仮払法人税等(資産)』の減少と考え、右に仕訳します。
これから税務署に支払う義務が発生するので、『未払法人税等(負債)』の増加と考え、右に仕訳します。
-
式)[ 未払法人税等 ] = [ 法人税、住民税及び事業税 ]-[ 仮払法人税等 ]
= 30,000-12,000
= 18,000(円)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エ法人税、住民税及び事業税 | 30,000 | イ仮払法人税等 | 12,000 |
ウ未払法人税等 | 18,000 |
問題
4.商品¥30,000をクレジット払いの条件で売り上げるとともに、信販会社への手数料(販売代金の4%)を計上した。 ア. 支払手数料イ. 売上ウ. 受取手数料エ. クレジット売掛金オ. 普通預金カ. 仕入
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エクレジット売掛金 | 28,800 | イ売上 | 30,000 |
ア支払手数料 | 1,200 |
クレジット払いの条件で商品を売り上げたので、『クレジット売掛金(資産)』と考え、左に仕訳します。
式)[ クレジット売掛金 ] = [ 売上 ] - [ 支払手数料 ]
= 30,000 -(30,000×0.04)
= 28,800(円)
手数料を支払ったので、『支払手数料(費用)』の増加と考え、左に仕訳します。
商品を売り上げたので、『売上(収益)』の増加と考え、右に仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エクレジット売掛金 | 28,800 | イ売上 | 30,000 |
ア支払手数料 | 1,200 |
問題
5.株主総会において、繰越利益剰余金¥200,000の一部を以下の通り処分することが承認された。
株主配当金:¥20,000
利益準備金の積立:¥2,000
ア. 利益準備金イ. 売上ウ. 未払配当金エ. 繰越利益剰余金オ. 給料カ. 雑益
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エ繰越利益剰余金 | 22,000 | ウ未払配当金 | 20,000 |
ア利益準備金 | 2,000 |
繰越利益剰余金を、株主への配当や利益準備金に充てるので『繰越利益剰余金(資本)』の減少と考え、左に仕訳します。
式)20,000 + 2,000 = 22,000(円)
繰越利益剰余金全額の使いみちを決めるわけではないので、問題の¥200,000という金額は「ひっかけ」です。
株主に「あとで配当金を払わなければならない義務」を負ったので『未払配当金(負債)』の増加と考え、右に仕訳します。
会社に利益を残すので『利益準備金(資本)』の増加と考え、右に仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エ繰越利益剰余金 | 22,000 | ウ未払配当金 | 20,000 |
ア利益準備金 | 2,000 |
問題
6.草津商事に商品¥55,000を販売し、送料500円を加えた合計額を掛けとした。また同時に、配送業者へ商品を引き渡し、送料500円は後日支払うこととした。 ア. 発送費イ. 売上ウ. 立替金エ. 売掛金オ. 未払金カ. 現金
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エ売掛金 | 55,500 | イ売上 | 55,500 |
ア発送費 | 500 | オ未払金 | 500 |
問題文に「商品¥55,000を販売し、送料500円を加えた合計額を掛けとした」とあるので、商品と送料の合計額を『売掛金』とします。
『売掛金(資産)』の増加と考え、左に仕訳します。
式)55,000 + 500 = 55,500(円)
また、「売上の諸掛」が「先方負担」の場合、諸掛は『売上』に上乗せするため、
商品の代金と送料の合計額を『売上』とします。
商品を売り上げたので、『売上(収益)』の増加と考え、右に仕訳します。
売上諸掛として商品を発送する費用を支払ったので、『発送費(費用)』の増加と考え、左に仕訳します。
「商品以外のもの」の「代金を支払う義務」を負ったので、『未払金(負債)』の増加と考え、右に仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エ売掛金 | 55,500 | イ売上 | 55,500 |
ア発送費 | 500 | オ未払金 | 500 |
問題
7.得意先の広島株式会社に資金¥1,200,000を貸し付けるため、同社振り出しの約束手形を受け取り、当社の当座預金口座より広島株式会社の普通預金に利息¥12,000を差し引いた残額を振り込んだ。 ア. 支払手形イ. 受取手形ウ. 手形貸付金エ. 受取利息オ. 普通預金カ. 当座預金
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ手形貸付金 | 1,200,000 | エ受取利息 | 12,000 |
カ当座預金 | 1,188,000 |
約束手形を受け取って、「貸したお金をあとで返してもらう権利」を得たので、 『手形貸付金(資産)』の増加と考え、左に仕訳します。
また、利息を計上するので、『受取利息(収益)』の増加と考え、右に仕訳します。
当座預金から振り込んでお金を貸付けたので、『当座預金(資産)』の減少と考え、右に仕訳します
貸し付ける金額から利息を差し引くため、計算は以下の通りです。
式)1,200,000 - 12,000 = 1,188,000(円)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ手形貸付金 | 1,200,000 | エ受取利息 | 12,000 |
カ当座預金 | 1,188,000 |
問題
8.決算において、当期純利益¥3,800,000を計上する。 ア. 売上イ. 仕入ウ. 損益エ. 繰越利益剰余金オ. 減価償却費カ. 繰越商品
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ損益 | 3,800,000 | エ繰越利益剰余金 | 3,800,000 |
当期純利益を振り替えるので、『繰越利益剰余金(資本)』の増加と考え、右に仕訳します。
会社が儲けたお金は会社の資本となるからです。
反対側(左)には『損益』を記入します。
(損益は帳簿の締め切りの時だけ使われる特殊な勘定です。)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ損益 | 3,800,000 | エ繰越利益剰余金 | 3,800,000 |
問題
9.得意先である沖縄株式会社に対して貸し付けた貸付金¥200,000が利息とともに普通預金口座へ振り込まれたことを確認した。 なお、年利率は5%で、貸付期間は6ヶ月である。返済時にかかった振込手数料¥300は先方負担とした。 ア. 支払利息イ. 普通預金ウ. 貸付金エ. 受取利息オ. 受取手数料カ. 支払手数料
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
イ普通預金 | 205,000 | ウ貸付金 | 200,000 |
エ受取利息 | 5,000 |
返済を受けたので「貸したお金を返してもらう権利」がなくなります。 よって、『貸付金(資産)』の減少と考え、右に仕訳します。
また、利息をもらったので、『受取利息(収益)』の増加と考え、右に仕訳します。
式)[ 利息金額 ] = [ 貸付金額 ]×[ 年利率 ]×[ 月数 ] / 12
= 200,000×0.05×(6 / 12)
= 200,000×0.05×(1 / 2)
= 5,000(円)
受け取った金額は、貸したお金と利息です。これを『普通預金(資産)』の増加と考え、左に仕訳します。
式)200,000 + 5,000 = 205,000(円)
支払手数料は先方負担なので、当社としては何も仕訳しません。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
イ普通預金 | 205,000 | ウ貸付金 | 200,000 |
エ受取利息 | 5,000 |
問題
10.前期に貸倒れ処理した得意先に対する売掛金¥300,000のうち、¥100,000が回収され、普通預金に振り込まれたが、誤って貸方科目を売掛金として計上していた事が分かったため、本日これを訂正する。 ア. 貸倒損失イ. 貸倒引当金ウ. 償却債権取立益エ. 貸倒引当金繰入オ. 売掛金カ. 普通預金
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
オ売掛金 | 100,000 | ウ償却債権取立益 | 100,000 |
訂正前の仕訳では貸方を誤って売掛金として処理していますが、正しくは『償却債権取立益』です。
訂正仕訳は下記の手順で解きます。
- ①誤った仕訳を取り消すために、逆仕訳(左と右を入れ替えた仕訳)をします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
オ売掛金 | 100,000 | カ普通預金 | 100,000 |
- ②本来の正しい仕訳をします。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
カ普通預金 | 100,000 | ウ償却債権取立益 | 100,000 |
- ③①、②の仕訳を合算します。
この問題の『普通預金』のように、借方と貸方に同じ勘定科目があり、かつ同じ金額の場合は、相殺されます。その結果、この問題では借方には売掛金、貸方には償却債権取立益が残ります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
オ売掛金 | 100,000 | ウ償却債権取立益 | 100,000 |
問題
11.店舗用の土地200㎡を1㎡あたり¥40,000で購入した。この土地の購入手数料¥180,000は小切手を振り出して支払い、土地の代金は後日支払うこととした。 ア. 現金イ. 当座預金ウ. 土地エ. 買掛金オ. 支払手数料カ. 未払金
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ土地 | 8,180,000 | イ当座預金 | 180,000 |
カ未払金 | 8,000,000 |
購入手数料を小切手を振り出して支払ったので『当座預金(資産)』の減少と考え、右に仕訳します。
「商品以外のもの」の「代金を支払う義務」を負ったので、『未払金(負債)』の増加と考え、右に仕訳します。
式)@40,000 × 200 = 8,000,000(円)
土地を購入したので、『土地(資産)』の増加と考え、左に仕訳します。
式)[ 取得原価 ] = [ 購入代価 ] + [ 付随費用 ]
= 8,000,000 + 180,000
= 8,180,000(円)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ土地 | 8,180,000 | イ当座預金 | 180,000 |
カ未払金 | 8,000,000 |
問題
12.X1年9月1日に1年分の保険料60,000円を支払ったが、X2年3月31日、決算を迎えたので、次期分の保険料を前払い費用として処理する。 ア. 保険料イ. 支払利息ウ. 未払金エ. 支払手数料オ. 損益カ.前払保険料
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
カ前払保険料 | 25,000 | ア保険料 | 25,000 |
決算において、前払いした保険料のうち、当期の分ではないものを『前払保険料(資産)』に振り替えます。
よって、『前払保険料(資産)』の増加と考え、左に仕訳し、『保険料(費用)』の減少と考え、右に仕訳します。
式)60,000×(5 / 12) = 25,000(円)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
カ前払保険料 | 25,000 | ア保険料 | 25,000 |
問題
13.1年満期(金利0.2%)の定期預金に普通預金口座から¥3,000,000預け入れた。 ア. 受取利息イ. 支払利息ウ. 定期預金エ. 現金オ. 普通預金カ.未収利息
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ定期預金 | 3,000,000 | オ普通預金 | 3,000,000 |
定期預金に預け入れたので、『定期預金(資産)』の増加と考え、左に仕訳します。
普通預金から預け入れたので、『普通預金(資産)』の減少と考え、右に仕訳します。
受取利息は満期を迎えた際に計上するため、定期預金に預け入れた段階では仕訳は必要ありません。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ定期預金 | 3,000,000 | オ普通預金 | 3,000,000 |
問題
14.小口現金係より、文房具代¥1,000、お茶菓子代¥2,000、はがき代¥630を小口現金で支払ったという報告を受けた。なお、小口現金係に前渡ししている金額は¥5,000である。 ア. 小口現金イ. 未払金ウ. 消耗品費エ. 雑費オ. 備品カ.通信費
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ消耗品費 | 1,000 | ア小口現金 | 3,630 |
エ雑費 | 2,000 | ||
カ通信費 | 630 |
小口現金係から文房具代、お茶菓子代、はがき代を支払ったとの報告を受けたので、 『消耗品費(費用)』、『雑費(費用)』、『通信費(費用)』の増加と考え、左に仕訳します。
小口現金からまかなってもらったので、『小口現金(資産)』の減少と考え、右に仕訳します。
式)1,000 + 2,000 + 630 = 3,630(円)
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
ウ消耗品費 | 1,000 | ア小口現金 | 3,630 |
エ雑費 | 2,000 | ||
カ通信費 | 630 |
問題
15.岩手株式会社は事務所の開設にあたり物件の賃貸契約を行い、以下の振込依頼書に記載の通り、普通預金口座から振り込んだ。 ア. 建物イ. 備品ウ. 普通預金エ. 差入保証金オ. 支払家賃カ.支払手数料
解答・解説
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エ差入保証金 | 280,000 | ウ普通預金 | 490,000 |
カ支払手数料 | 70,000 | ||
オ支払家賃 | 140,000 |
保証金(敷金)を支払ったことで、「(原状復帰費用を差し引いた)保証金が戻ってくる権利」を得たので『差入保証金(資産)』の増加と考え、左に仕訳します。
仲介手数料を支払ったので、『支払手数料(費用)』の増加と考え、左に仕訳します。
家賃を支払ったので、『支払家賃(費用)』の増加と考え、左に仕訳します。
普通預金から振り込んだので、『普通預金(資産)』の減少と考え、右に仕訳します。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
エ差入保証金 | 280,000 | ウ普通預金 | 490,000 |
カ支払手数料 | 70,000 | ||
オ支払家賃 | 140,000 |
第1問(仕訳) 問題 | |
第2問(記入する補助簿の選択・勘定記入) 問題 | |
第3問(貸借対照表と損益計算書) 問題 | |
第1問(仕訳) 解答・解説(← 今ココ!) | |
第2問(記入する補助簿の選択・勘定記入) 解答・解説 | |
第3問(貸借対照表と損益計算書) 解答・解説 | |
第2回 完全予想模試 ネット試験 |